大正14年
籠の鳥
−正調−

千野かほる 作詞
鳥取春陽 作曲

逢いたさ見たさに怖さを忘れ
暗い夜道をただ一人

逢いに来たのになぜ出て逢わぬ
僕の呼ぶ声忘れたか

あなたの呼ぶ声忘れはせぬが
出るに出られぬ籠の鳥

籠の鳥でも知恵ある鳥は
人目忍んで逢いに来る

人目忍べば世間の人が
怪しい女と指ささん

怪しい女と指さされても
誠心こめた仲じゃもの

指をさされちゃ困るよ私
だから私は籠の鳥

世間の人よ笑わば笑え
共に恋した仲じゃもの

共に恋した二人が仲も
今は逢うさえままならぬ

ままにならぬは浮世の定め
無理に逢うのが恋じゃもの

逢うて話して別れるときは
いつか涙がおちてくる

おちる涙は誠が嘘か
女ごころはわからない

嘘に涙は出されぬものを
ほんに悲しい籠の鳥